北アルプス 奥穂高岳 敗退
--------------------------------------------------------------------------
上高地 河童橋から横尾を経由し、約4時間で涸沢ヒュッテに着。
そのままテント設営を終えると、

まずはおつカレー&エネルギー補給。
ここ涸沢ヒュッテ、水もあって売店食事もある。自動販売機もあって快適だ。
さて13時30分、奥穂高岳登頂を目指してまずは小豆沢の雪渓を登る。

急登であったが一歩一歩。
途中、雪渓上部から滑落してきた登山者が すぐ横を物凄いスピードで滑り落ちていった。
そのまま、下ってゆく4人パーティーに後ろから突っ込んで、
次々になぎ倒しながらまだ滑り落ちていった。
大丈夫であったのだろうか。
気を引き締めなおして一歩一歩。
-----------------------------------------------------------------------------------
白出のコルまで1時間30分で登り切って穂高岳山荘まで来た。
初めてここまで登ってきた。

正面に奥穂高岳。
ずっと登ってみたいと思い続けていた奥穂高岳が正面に。
ここからのルートは事前に地図で画像で文章で情報収集してきたつもり。
まず鉄ハシゴから北西壁雪渓を直登、岩場の夏道を行って最後にもう一つの雪壁。
その先に待っているのが山頂だ。
ここから山頂まで往復約2時間(夏タイム)、日没は19時、現在15時30分。
十分行って帰ってこれるだろう時間ではあるが、
その迫る山容と、垂直?な雪壁に気持ちが負けかけていた。

なかなか決心が決まらなかったので、
一旦反対側の涸沢岳(3,110m)に登ってお茶を濁す。
再び眼下の穂高岳山荘に戻り、特に行きたくなかったけどトイレに行って時間稼ぎ、
出てきたら小屋のスタッフさんがいたので声をかけてみた。
「今から奥穂高岳行けますかねぇ。」
「時間的には行って来れるとは思うけど、この時間から登る人はあまりいませんよ。」
明日にしよう。
明日も晴天予報、今日はガスが多いので眺望も期待できないであろうから。

それでもせっかくここまで登ったのでと再び涸沢岳に登ると急にガスが抜け、
滝谷と大キレット、その先の槍ヶ岳がくっきり見えてきた。

さわやか信州号バスで7時間、東京から来たという彼と山頂で日没まで過ごす。
「ボク、穂高が好きなんですよね。でもそう簡単に来られないので穂高は一大イベント、
なので敗退は許されないんですよ。わはは。」
明日 奥穂高岳登頂をやって、再びバスに揺られて帰るんだと笑っていた。

そのまま西に沈んでゆく夕陽を見送って、
暗闇迫る中、ヒュッテで待つテントまで下った。

疲労感、悔しさ、苛立ち。
奥穂高岳、明日はやれるのだろうか。
いや、きっとできる、明日こそやってやる。
シュラフの中で、そんなことを思いながら眠りについたんだと思う。
Zzz・・・
--------------------------------------------------------------------------
翌朝5時半、再び小豆沢から白出のコルを目指して雪渓を直登。

今日は1時間10分で登り切ったぞ =3
さあ!
再び奥穂高岳を見上げるが、風が冷たく強く寒かったので再々度涸沢岳へ登って様子見。
誰かが登って行ってくれれば勢いがつくんだけどなぁ。

でもやっぱり山荘の上部のあの雪壁がコワい。
まだ覚悟が決まらない。

それでもと穂高岳山荘まで再び降りていったら、さわやか号の彼がテントをたたんでいた。
「オクホ、行ってきました?」
「行ってきましたよ。」
「あの雪壁、どうでした?」
「小屋で出会ったおばちゃんが、朝方はまだ雪が硬くて前歯が浅くしか入らなくて危険、
横の岩場を攀じった方がいいよって言っていたのでそのルートで登ってこれました。」
「凄いなぁ!」
「敗退は許されないのでね。(^^)」
・・と、さわやかに笑った笑顔がうらやましかった。
朝8時半。
私の力量では行けない、いや、行ってはいけないと思ったので諦めた。
結局、2日続けて穂高の稜線で葛藤と戦って終わっただけの山行。
撤収して帰ろう。
逃げるようにテントまで戻った。

=3
本谷橋のたもとまで降りてきて 五月の桜。 ミネザクラ。

自分のペースで ただただ咲いていた。
---------------------------------------------------------------------------------------
奥穂高岳。
北アルプス最高峰であり、穂高連峰の中央にそびえる盟主。

私にはでっかい山だった。
- 完 -
上高地 河童橋から横尾を経由し、約4時間で涸沢ヒュッテに着。
そのままテント設営を終えると、

まずはおつカレー&エネルギー補給。
ここ涸沢ヒュッテ、水もあって売店食事もある。自動販売機もあって快適だ。
さて13時30分、奥穂高岳登頂を目指してまずは小豆沢の雪渓を登る。

急登であったが一歩一歩。
途中、雪渓上部から滑落してきた登山者が すぐ横を物凄いスピードで滑り落ちていった。
そのまま、下ってゆく4人パーティーに後ろから突っ込んで、
次々になぎ倒しながらまだ滑り落ちていった。
大丈夫であったのだろうか。
気を引き締めなおして一歩一歩。
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白出のコルまで1時間30分で登り切って穂高岳山荘まで来た。
初めてここまで登ってきた。

正面に奥穂高岳。
ずっと登ってみたいと思い続けていた奥穂高岳が正面に。
ここからのルートは事前に地図で画像で文章で情報収集してきたつもり。
まず鉄ハシゴから北西壁雪渓を直登、岩場の夏道を行って最後にもう一つの雪壁。
その先に待っているのが山頂だ。
ここから山頂まで往復約2時間(夏タイム)、日没は19時、現在15時30分。
十分行って帰ってこれるだろう時間ではあるが、
その迫る山容と、垂直?な雪壁に気持ちが負けかけていた。

なかなか決心が決まらなかったので、
一旦反対側の涸沢岳(3,110m)に登ってお茶を濁す。
再び眼下の穂高岳山荘に戻り、特に行きたくなかったけどトイレに行って時間稼ぎ、
出てきたら小屋のスタッフさんがいたので声をかけてみた。
「今から奥穂高岳行けますかねぇ。」
「時間的には行って来れるとは思うけど、この時間から登る人はあまりいませんよ。」
明日にしよう。
明日も晴天予報、今日はガスが多いので眺望も期待できないであろうから。

それでもせっかくここまで登ったのでと再び涸沢岳に登ると急にガスが抜け、
滝谷と大キレット、その先の槍ヶ岳がくっきり見えてきた。

さわやか信州号バスで7時間、東京から来たという彼と山頂で日没まで過ごす。
「ボク、穂高が好きなんですよね。でもそう簡単に来られないので穂高は一大イベント、
なので敗退は許されないんですよ。わはは。」
明日 奥穂高岳登頂をやって、再びバスに揺られて帰るんだと笑っていた。

そのまま西に沈んでゆく夕陽を見送って、
暗闇迫る中、ヒュッテで待つテントまで下った。

疲労感、悔しさ、苛立ち。
奥穂高岳、明日はやれるのだろうか。
いや、きっとできる、明日こそやってやる。
シュラフの中で、そんなことを思いながら眠りについたんだと思う。
Zzz・・・
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翌朝5時半、再び小豆沢から白出のコルを目指して雪渓を直登。
今日は1時間10分で登り切ったぞ =3
さあ!
再び奥穂高岳を見上げるが、風が冷たく強く寒かったので再々度涸沢岳へ登って様子見。
誰かが登って行ってくれれば勢いがつくんだけどなぁ。

でもやっぱり山荘の上部のあの雪壁がコワい。
まだ覚悟が決まらない。

それでもと穂高岳山荘まで再び降りていったら、さわやか号の彼がテントをたたんでいた。
「オクホ、行ってきました?」
「行ってきましたよ。」
「あの雪壁、どうでした?」
「小屋で出会ったおばちゃんが、朝方はまだ雪が硬くて前歯が浅くしか入らなくて危険、
横の岩場を攀じった方がいいよって言っていたのでそのルートで登ってこれました。」
「凄いなぁ!」
「敗退は許されないのでね。(^^)」
・・と、さわやかに笑った笑顔がうらやましかった。
朝8時半。
私の力量では行けない、いや、行ってはいけないと思ったので諦めた。
結局、2日続けて穂高の稜線で葛藤と戦って終わっただけの山行。
撤収して帰ろう。
逃げるようにテントまで戻った。

=3
本谷橋のたもとまで降りてきて 五月の桜。 ミネザクラ。

自分のペースで ただただ咲いていた。
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奥穂高岳。
北アルプス最高峰であり、穂高連峰の中央にそびえる盟主。

私にはでっかい山だった。
- 完 -
この記事へのコメント
はじめまして
涸沢岳から槍ヶ岳方面の眺め、素晴らしいですね。ぜひ足を運んでみたいです。
自分は5月中旬、京都から涸沢カールを訪ね、下から奧穂高を眺めて帰りました。まだピッケルももっていませんもので。。。
とりあえず今年は雪がなくなってから、奧穂高に登頂してみたいと思っております。
涸沢岳から槍ヶ岳方面の眺め、素晴らしいですね。ぜひ足を運んでみたいです。
自分は5月中旬、京都から涸沢カールを訪ね、下から奧穂高を眺めて帰りました。まだピッケルももっていませんもので。。。
とりあえず今年は雪がなくなってから、奧穂高に登頂してみたいと思っております。
鬼軍曹でも行けない山があるんですね。
私なら絶対いけない。
命さえあれば何度でもアタックできます。
今年も、これからも事故は起きます。
無事に帰るが最大の目的ですね。
あの滑落した人は大丈夫だったんですかね。
私なら絶対いけない。
命さえあれば何度でもアタックできます。
今年も、これからも事故は起きます。
無事に帰るが最大の目的ですね。
あの滑落した人は大丈夫だったんですかね。
涸沢岳登頂オメ!×2
「山は臆病なぐらいで丁度良い」
かの加藤文太郎もああ見えて臆病で、
だからこそ準備や工夫を重ねて偉業を成したそうです
h爺は高さに対する怖さはあまり感じない方ですが、
体力的な不安が先に立っちゃいますねー
小豆沢多分2時間は掛かるな(^^;;
「山は臆病なぐらいで丁度良い」
かの加藤文太郎もああ見えて臆病で、
だからこそ準備や工夫を重ねて偉業を成したそうです
h爺は高さに対する怖さはあまり感じない方ですが、
体力的な不安が先に立っちゃいますねー
小豆沢多分2時間は掛かるな(^^;;
◆zep09さん、はじめまして。
コメントありがとうございました。
涸沢岳から槍ヶ岳方面の眺め、良かったですよ。
オススメ(今回撮影)ポイントは、涸沢岳山頂から5分程度縦走路を行ったところです。
涸沢カール、京都からはロングな移動ですね。
それでもあの壮大な山岳スケール、また訪ねたくなっちゃいますよね。
奥穂高岳登頂、楽しみですね!
私も再び狙っていますので、山頂でバッタリお会いするかな。(笑)
良かったらまた寄ってくださいね(^^)/
コメントありがとうございました。
涸沢岳から槍ヶ岳方面の眺め、良かったですよ。
オススメ(今回撮影)ポイントは、涸沢岳山頂から5分程度縦走路を行ったところです。
涸沢カール、京都からはロングな移動ですね。
それでもあの壮大な山岳スケール、また訪ねたくなっちゃいますよね。
奥穂高岳登頂、楽しみですね!
私も再び狙っていますので、山頂でバッタリお会いするかな。(笑)
良かったらまた寄ってくださいね(^^)/
◆Fさん、こんばんは。
もちろん行けない山は沢山ありますよ。
技術不足、精神力不足、まだまだ鍛えないといけません。自分に厳しく(明日から)。
これからも自分の力量を理解して、身の丈に合った山行を楽しみますよ。
滑落した人は、上から見ていたら滑り止まったところで手足が動いていました。
自分に精いっぱいだったのでその後は分かりません。
もちろん行けない山は沢山ありますよ。
技術不足、精神力不足、まだまだ鍛えないといけません。自分に厳しく(明日から)。
これからも自分の力量を理解して、身の丈に合った山行を楽しみますよ。
滑落した人は、上から見ていたら滑り止まったところで手足が動いていました。
自分に精いっぱいだったのでその後は分かりません。
◆hさん、こんばんは。
ありがとうございます!
えー、涸沢岳は今回3回も登頂しましたよ。(笑)
情熱と自信でガンガン突っ込んでいくイメージもありましたが、
加藤文太郎でさえもそうだったのですね。
「こういうときは臆病なくらいがちょうどいいのよね」
カイ・シデンも言っていましたね。(笑)
小豆沢雪渓、目的があったのでガツガツ登りましたに。
目的がなかったら登ることもないか。(笑)
ありがとうございます!
えー、涸沢岳は今回3回も登頂しましたよ。(笑)
情熱と自信でガンガン突っ込んでいくイメージもありましたが、
加藤文太郎でさえもそうだったのですね。
「こういうときは臆病なくらいがちょうどいいのよね」
カイ・シデンも言っていましたね。(笑)
小豆沢雪渓、目的があったのでガツガツ登りましたに。
目的がなかったら登ることもないか。(笑)