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昨年、約半世紀ぶりに中央アルプスでライチョウの生息が確認され、
生息地復活か!と歓喜に包まれました。
ただ、今回の有精卵入れ替えプロジェクトは事前調査や準備の時間が少なく、
抱卵の期間も限られていることから、
慌ただしくも見切り発車せざるを得ない状況だったのだと思います。
私も含め、環境省も関係者も、ライチョウの置かれている現実に焦っています。
近年南アルプスで一定の成果をあげている「ケージ保護」と「天敵捕獲」の対策を
複合的に行うことができていれば、今回の結果は違ったものになったのかも知れません。
「ライチョウは弱かったので生きることができなかった。」
残念ですが、まずこの事実を受け止めなければなりません。
いずれにしても、もう待ったなしでニホンライチョウ絶滅の危機が迫っていて、
その危険性を少しでも減らしていかなければなりません。
今回の5羽のヒナの死を決して無駄死にとすることなく、
中央アルプスで一度は孵った儚い生命が、未来へとつながることを願うばかりです。
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絶滅迫るといわれるライチョウ達に対して、
今自分に何が出来るのか?という歯がゆさでいっぱいですが、
この現実をまず一人でも多くの人に知ってほしくてこの記事を載せました。
前例もないし、みな手探りなんだと思います。
何もせずにただ部屋で心配しているよりも、何かしらの行動をとらずにはいられない、
正解か不正解かも分からずにライチョウを信じて。
今回、卵を北アルプスから運んできて、
中央アルプスに棲むメスによって孵化させることが出来ました。
大きな希望の一歩を残せたのは事実です。
短期間の命でしたが、「生きる!生きよう!生きたい!」と
力強く鳴くヒナ達の声が私には聞こえてきました。
2016年7月 北アルプス 鹿島槍ヶ岳
そのつぶらな瞳に見えている未来。
ライチョウ!!